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店主の疑問
「タイヤの寿命って、距離なん? 年数なん? ひび割れなん?」

自転車タイヤって、結局いつ交換?

摩耗・ひび割れ・経年劣化。同じ「寿命」でも中身は違いました

店で「まだ使えますか?」と聞かれた時、走行距離だけでは答えられません。溝が残っていても傷んでいることがあるし、ひび割れも全部が同じ原因ではない。じゃあ何を見ればええんやろ。距離、年数、空気圧、保管状態から、タイヤの傷み方を調べました。

ひび割れ=古い。ほんまにそれだけ?

タイヤの寿命やひびの理由を店主が問い、AI金太郎君が公式資料、空気圧、使い方を調べ、距離・年数・状態を合わせて整理する4コマ漫画
4コマでは、店主の疑問からAI金太郎君が資料を調べ、距離・年数・状態を合わせて考えます。調べていくと、タイヤ側の傷みは「摩耗・疲労・経年劣化・外傷」の四つに整理できました。

「何年もちます?」に、すぐ答えられない理由

自転車屋をしていると、タイヤ交換の相談はよくあります。「あまり乗ってない」「溝は残ってる」「買ってから3年くらい」。どれも大事な情報です。けど、その一つだけでは、まだ使えるかどうかは決められません。

例えば、毎日走って、地面に接する部分(トレッド)が薄くなるのは摩耗。空気が少ないまま走ってタイヤの側面(サイド)が大きく曲げ伸ばしされるのは疲労。紫外線や熱、オゾンなどでゴムが変わるのは経年劣化。ガラスで切れたり、縁石に当てて膨らんだりするのは外傷です。

店主

全部まとめて「寿命」と呼ぶから、話がややこしくなるんですよね。店では、どれくらい走ったか、どこに置いていたか、空気圧はどうだったかを順番に聞きます。

最初の資料|走行距離

距離を調べたら、いきなり幅が広かった

AI金太郎君がSchwalbeの公式FAQを持ってきました。そこには、一般的なタイヤは2,000〜5,000km、Marathon系は6,000〜12,000km、Marathon Plusは多くの場合10,000kmをかなり超える、ロードのSchwalbe Oneは3,000〜7,000kmとあります。

そう! 同じメーカーの自転車タイヤでも、これだけ幅がありました。しかもSchwalbe自身が、空気圧、荷重、路面、気温、乗り方で大きく変わるので、走行距離を一言で言うのは難しいと書いています。MTBは乗り方の影響が大きすぎて、意味のある距離を示せないとも。

一般的なSchwalbeタイヤ2,000〜5,000km
Marathon系6,000〜12,000km
Schwalbe One3,000〜7,000km

※メーカーが示す大まかな目安です。保証距離でも、全ブランド共通の交換基準でもありません。

AI金太郎君

距離は「あと何km安全」を約束する数字ではなく、製品の性格を知る参考値として読む方が正確です。

店で実物を見る時は、距離よりトレッドの厚み、平らになった中央部、切れ、内部の糸が見えていないかを先に見ます。ContinentalやVittoria Corsa N.EXTのように、小さな穴状のTWI(トレッド・ウェア・インジケーター=摩耗目安)がある製品は、穴が消える時が交換判断の目安になります。ただしTWIがあっても、横の傷や膨らみまで無かったことにはできません。

次の資料|サイドのひび

ひび割れを見たら、「古い」で終わらなかった

Schwalbeは、低い空気圧を続けた時の疲労亀裂と、年数などによる老化亀裂を写真で説明しています。店で見てきたひびを、資料の言葉で確かめます。

典型例では、低圧による疲労亀裂はサイド上部に少数の大きな割れ。老化亀裂は細かく、サイド全体へ広がる形です。けど同じ資料に、実際は両者の境目が連続的で、見た目だけでは原因をはっきり分けられないこともある、とあります。

低圧で進む疲労

空気が少ないまま荷重を支え、サイドが何度も大きく曲がる。

時間と環境による老化

時間、熱、光、オゾンなどの影響でゴムの性質が変わる。

店主

「古いから割れた」と決めつけていたら、空気圧不足という使い方を見落とす。新品へ替えても、同じ乗り方ならまた傷むんです。

当店の過去ブログでも、店で見るパンクは空気圧不足が大きく関係している、という現場感を書いています。これは全国統計ではなく、うちの店で見てきた話です。メーカー資料にも、低圧がパンクだけでなく、タイヤそのものの疲労につながることが説明されています。

金太郎ブログ|2022年7月30日のパンク修理の話

三つ目の資料|乗らずに置いたタイヤ

走っていなくても、タイヤは傷む

「ほとんど乗っていないから新品に近い」と思われがちです。乗った距離が少なくても、保管状態によって傷むことがあります。では、何が劣化を早めるのか。Michelinの自転車タイヤ資料には、極端な温度、紫外線、電気設備の近くなどが劣化要因として挙げられています。

Michelin豪州の保管資料には、変圧器の近くに置いた新品タイヤでも、数日でサイドへ元に戻らないひびが出る場合がある、という例があります。これは「数日で普通に寿命が来る」という意味ではありません。オゾン源に近い特殊な保管では、走行距離ゼロでも傷むことがある、という警告です。

Michelin豪州|How to store bike tyres(保管の資料)

保管は、涼しく、乾燥し、暗い場所。直射日光、極端な熱、0℃未満、モーター・発電機・変圧器などのオゾン源、油や溶剤から離す。完成車を長く置く時は、完全に空気が抜けたタイヤへ車体の重さを掛け続けない。細かい指定は製品メーカーを優先しますが、方向は各社でかなり共通しています。

数字がぶつかった|5年と10年

え、5年と10年。どっちを信じたらええん?

AI金太郎君が次に並べたのは、年数の違う二つの公式資料でした。Schwalbeは、適切に保管した自転車タイヤなら5年間は問題なく保管でき、条件が良ければもっと長くても問題ないと説明しています。一方Michelinは、保管状態や溝の残りに関係なく、製造から10年で使用を終えるよう勧めています。

数字だけ並べると矛盾して見えます。けど、質問が違います。

Schwalbeの5年適切な条件なら、どれくらい保管できる?

新品在庫を含む「保管性」の説明。

Michelinの10年外見が良くても、いつ使用から外す?

製造日を起点にした「使用上限」の推奨。

店主

5年で一斉に捨てる話でも、10年までは無条件で使える話でもなかったんですね。ここ、数字だけ抜き出すと意味を取り違えます。

Michelinはさらに、使用開始から1年を過ぎたタイヤを専門家に点検してもらうことも勧めています。かなり慎重な案内です。これも全メーカー共通の法律ではなく、Michelinの自転車タイヤに対する推奨として読みます。

店頭判断|年数より先に止めるもの

溝が残っていても、ここは「まだ使える」と言わない

カーカスは、ゴムの内側でタイヤの骨格になる糸の層です。ビードは、タイヤの端でリムに掛かる部分。ここからは、この骨格や端の傷みも含めて、使用を止めて点検する状態を見ていきます。

ここまで年数を調べましたが、実物を前にすると、年数を聞く前に止める状態があります。

  • 内部の糸や保護層が見えている表面ゴムだけの問題ではありません。
  • 一か所だけ、こぶのように膨らんでいるカーカス損傷や装着異常を疑います。
  • 深い切れがある、切れが開く異物を抜くだけでは済まない場合があります。
  • ビードが露出・変形しているリムへ正しく保持できるかの問題です。
  • TWIが消えた、内部の糸が見えるほどゴムが減った摩耗目安に達したタイヤや、骨格になる糸が露出したタイヤは使用を続けません。

細かな表面ひびを一枚の写真だけで「即危険」「絶対大丈夫」と断定するのも違います。空気を抜いて曲げた時に深く開くか、タイヤの骨格になる糸(カーカス)へ届いていないか、リムへ掛かる端の部分(ビード)や局所的な変形に異常がないか。分からない時は現物を見ます。

今回の答え

タイヤの寿命は、一つの数字では決められなかった

何km・何年と一個の数字で答えられたら簡単なんですが、店頭ではそうはいきません。見るのは、摩耗・疲労・経年劣化・外傷の4種類です。

01摩耗

距離、路面、荷重、乗り方で進む。

02疲労

低圧などで曲げ伸ばしが増えて進む。

03経年劣化

時間と保管環境で進む。

04外傷

切れ、衝撃、異物で一気に起きる。

だから「3年だから交換」「5,000kmだからまだ大丈夫」とは言い切りません。製品の目安を確認して、距離と年数を聞いて、空気圧や保管を聞いて、最後は現物のトレッド、サイド、ビード、変形を見る。これが店での答えです。

店主

結局、年数の数字を一個覚える記事にはなりませんでした(笑)。けど「何を見たらいいか」は、調べる前よりかなりはっきりしました。タイヤの寿命は、距離か年数かの二択ではない。これが今回の自由研究の答えです。

AI金太郎君が開いた一次資料

メーカーごとの数字は、そのメーカーが説明している条件の中で読みました。別メーカーへそのまま当てはめて性能順位や安全期限を作っていません。

画像について:4コマは本記事用の新規制作です。メーカー公式の劣化比較写真は説明には有用ですが、転載条件が明確でないため掲載せず、資料へのリンクに留めました。